緑内障について1 ~原因と症状~ (寄稿)
「緑内障について1 ~原因と症状~(両国眼科クリニック 岩崎美紀院長寄稿)」
緑内障とは?
一度障害をうけた視神経は再生することがないため、視野欠損の軽度なうちに発見・治療することが大切です何らかの原因(眼圧が高い、視神経が弱いなど)で視神経に障害をきたし、視野が欠損してくる病気です。
一度障害をうけた視神経は再生することがないため、視野欠損の軽度なうちに発見・治療することが大切です 。
緑内障は40歳以上の17人に1人がかかるといわれ(1)、また日本人には正常眼圧緑内障の比率が高く、初期には全く自覚症状がないため、早期発見するためには眼科での検査をおすすめします。
緑内障の原因
緑内障の直接的な原因は、前房(ぜんぼう)内の房水(ぼうすい:前房内を満たす透明な液体)が隅角(ぐうかく)からうまく排泄されず、眼圧が高くなることです(画像参照)。ただし、正常眼圧緑内障は、その病名のとおり、眼圧は正常です。眼圧は正常なのに、視神経が障害されていきます。
危険因子として、次に当てはまる方はこのタイプの正常眼圧緑内障に気をつけてほしいので一度検査されることをおすすめします。
- 血縁者に緑内障の人がいる
- 近視
- 低血圧
- 冷え性
低血圧・冷え性・過去の大きな出血などは、血流がわるくなり、視神経にダメージを与える要因になると考えられています。
緑内障の症状
緑内障により視神経の障害が進行すると視野が欠損したり、視力が低下しますが、緑内障の種類によって、その進行のスピードは異なります。
緑内障のタイプは、大きく2つに分類されます。
1.一般的な緑内障(開放隅角タイプ)
自覚症状はほとんどなく、知らないうちに病気が進行していることも多いです。視神経の障害はゆっくりと起こり、視野も少しずつ狭くなり、特に異常を感じません。
2.急性の緑内障発作(閉塞隅角タイプ)
急性の緑内障発作を起こします。つまり、自覚症状も急激に起こり、眼圧が上昇することで、目の痛みやその目の奥の頭痛、吐き気など激しい症状を起こします。
症状と言いましても具体的な症例でどのような変化が起きるのか?ぴんとこないと思うので症例を示します。
症例:
54歳男性
眼圧はもともと両眼15-16mmHgつまり正常眼圧緑内障と診断され(正常眼圧の範囲は10-21mmHgとされています)、3種類の緑内障の点眼薬治療をして9-11mmHgに眼圧をコントロールされています。
視力は右1.2左は0.7です。
自動視野計によるグレースケールのみ表示します。
黒く表示されるのは「見えないところ(視野欠損)」、グレーに表示されるのは「感度低下している部分」を示します。
この方の場合、10年前の視野(上)に比べ、現在の視野(下)では、黒・グレー部分の面積が増えていることがわかると思います。
緑内障は経年でゆっくりと進行する病気です。両眼でみていると(視野の欠損などに)気がつかないことがほとんどです。
次回は緑内障の治療や予防について掲載の予定です。
(3月15日に掲載の予定です)
【参考文献および画像について】
(1) 日本緑内障学会、「日本緑内障学会 多治見緑内障疫学調査」(通称:多治見スタディ)、2012
(2) 全ての資料画像出典:医療法人社団 慶翔会 両国眼科クリニック
両国眼科クリニック 院長 岩崎美紀 寄稿
J1003U1N-348/2020-2-15