花粉症とその対策 (寄稿)

「花粉症とその対策 (両国眼科クリニック 岩崎美紀院長 寄稿)」

 
花粉症とは?
花粉症は英語でallergy to pollenつまり、花粉に対するアレルギー反応であり、
具体的にはアレルギー性結膜炎や皮膚炎、アレルギー性鼻炎を起こします。

今や日本国民病とも言われ、3000万人がかかっているといわれています1
原因となる花粉(抗原)には季節があり、東京ですとスギ花粉は2月~4月(3月には本格的に飛散する)に飛び、最も有名な花粉症です。
その他にヒノキ花粉は3月~5月、カモガヤ花粉は4月~9月、ブタクサ花粉は8月~9月と飛ぶ時期が異なり、
反応する原因は、人によって異なります。

アレルギー性結膜炎の症状は、なんといってもかゆみです。
目はごろごろしたり、充血し、白目のところがゼリー状にふくらんだりします。まぶたが、腫れぼったくなったり、痛みを感じたりもします。
アレルギー性鼻炎の症状は、鼻水、鼻づまり、くしゃみが3大症状です。
のどの痛み、咳なども起こします。また、風邪のように熱がでたりもします。

 
治療
眼科ではアレルギー性結膜炎の治療が主ですが、点眼薬をさしてもらいます。
点眼薬の種類にもいろいろあります。

〇人工涙液
原因となる花粉を洗い流す作戦で、それなりに効果があります。
防腐剤の入っていないものを使用してください。

〇抗ヒスタミン点眼薬
アレルギー反応がおこるとヒスタミンがでてかゆみや充血がおこります。これを抑える力がある点眼薬で、治療の主役です。

〇抗アレルギー点眼薬
生体の花粉に対する反応のひとつである脱顆粒反応を抑制する作用があり、症状の予防には効果があります。

〇ステロイド点眼薬や免疫抑制剤点眼
炎症が強く症状が重症になるとこれらが必要になります。
かなり効果がありますが、副作用チェックをしてもらいながら使用してください。
鼻炎の治療は主に点眼薬と内服になります。最近は眠くならない第二世代の抗ヒスタミン薬(内服薬)が主流です。

 
予防=初期療法
最近話題の治療法がこれです。
初期療法とは、具体的には、なんと、症状が出る前から治療を開始するのです。
花粉症になった人は、毎年同じ時期に同じ症状を自覚します。
天気予報でも花粉飛散量の予報が伝えられる今日この頃、備えが大切なのです。
最近の研究の結果、症状が起きる前に治療を始めれば、症状を軽くすることができることがわかってきました。
つまり目がかゆくなる前に点眼薬をさし始めると、かゆみの症状が出る時期を遅らせ、
かつ、ピーク時期の症状を軽くすることができるのです。
信じられないという方も、今年は是非始めてみてください。
治療開始のタイミングは、花粉が本格的に飛散する2週間前が目安で、スギ花粉であれば2月の中旬と思っていてください。

 
その他の対策
家にかえったら玄関で洋服をはたいて、花粉を家に持ち込まない。
メガネをかけるだけで、目にはいる花粉の量をかなり減らせます。
この時期はコンタクトレンズよりメガネをおすすめします。

 

【参考文献】

1 馬場廣太郎,中江公裕:鼻アレルギーの全国疫学調査 2008(1998 年との比較)-耳鼻咽喉科医とその家族を対象として-,Progress in Medicine,28(8),p145-156,ライフ・サイエンス,2008.

 

両国眼科クリニック 院長 岩崎美紀 寄稿

J1003U1N-0302/2019-1-15

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